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『冷静に考えると、綺麗なオネーサンはないわー』
『なにィ! え、というかいきなりなに否定してんの?』
『オネーサンが綺麗ってことはだぞ、オネーサンになる前から綺麗だったってことだ。それこそ学生時代から。そんな見目麗しいやつに同級生の男とかが手を出さないと思うか? つまりさぁ、狙い目の綺麗なオネーサンって倍率低すぎると思うんだよね』
『ふむ。だからこの合コンには参加しないと?』
『うん。来るわけねーじゃん、綺麗なオネーサン』
 などと大学の友人がもっともらしいことを言っていたが、果たして現実はその通りになった。
 綺麗なオネーサマ方と合コン、という案内に惹かれて参加を決意したはいいが、会場が大学近所のサイ○リヤという時点で妙に不安はあったのだ。別に○イゼリヤが嫌いというわけではなく、むしろ週一ぐらいで通っているわけだが昼間のファミレスで合コンは違和感があった。
 で、そんなファミレスの一席に集う四人の男、四人の女。これがまた見事に同年代。
 話を聞いてみりゃあ、女子共はみんな同じ大学の連中だった。
 綺麗どころかオネーサマですらない。
「中村と申します。よろしくお願いします」
 白衣を着た女子が丁寧に挨拶する。なんで白衣なのと聞いたら「普段着なんです」と返されて、かわいいけど少々変人であることが判明した。環境創造学科の所属らしいが、なにそれ。
「えぇと、カナです。岩谷カナ」
 続いて視線が向けられたことで渋々といったように、『研修中』というプレートを髪留め代わりに使っている女が、ぼそぼそと自己紹介する。なんでこの人、パジャマ姿なんだ。コンビニのついでに寄ったという風情だ。しかも顔がぬぼーっとしている。今にも涎垂らしそうだ。
「にっこり」
 声に出さなくていいから笑えよ。身体は小さいし、女子高生でも違和感ない。眠いのか、目がとろんとしてまばたきが多い。少し観察していると、動きまで鈍くなっていた。大丈夫か。
「左門だ。豊作は関係ない」
 寝不足で目が据わっている美人が、目つきと対照的にはっきりした声で名乗る。確かにその名字だとそっちを連想してしまう。こちらも先程の中村さん同様、白衣を着ている。
 傍から見ると合コンではなく、理系の会合にでも思われるだろう。
「白衣仲間ですねー」
 中村さんが親近感を伝えると、「私のは趣味じゃないのだが」と左門が目を細める。しかもそう言った直後に「いやまぁ趣味だが」と頭を掻きながら訂正した。見栄を張っただけらしい。
 テーブルの端の席に座るのは、目が特徴的な二人。一人は右目を事故で失って、義眼を入れている男。なんでもバスが宙を舞うほどの事故に巻きこまれたらしいが、良く生きていたな。寡黙なのか、曖昧に笑いながら大人しくしている。ただ時折、中村さんに注目しているようだ。ふむ、彼女狙いということか。白衣姿が好きなんだろうか。いやそれならホーサクでもいいか。
 もう一人は三白眼に目が行く女。こいつが女子の中で一番美人だ。胸も大きい。しかし、頬杖を突いてそっぽを向いてしまっている。その上、目つきが異様に悪い。それだけ険しい顔つきなのに美人というのも相当なものだが、どれだけ不機嫌なんだ。
「ねぇ、きみの番じゃね? 名前教えてよ」
 そう言って声をかけたのは黒田、とか言ったか。目つきの悪い女の隣に座っている。
 この人は大学生に思えねぇんだよな。社会人の佇まいだ。そして表立って嬉々としているのもこの人だけだ。なんか、いかにも女子大生大好き、という雰囲気が滲み出ている。
「名前? ……なんであなたに教えないといけないの」
 女はあくまで辛辣だった。冷ややかな視線を向けるが、黒田は逆に喜んでいるように見える。つれない態度をされるとちょっかいをかけたくなるのか、それからも話しかけていた。
 その女を見ているやつがもう一人いる。俺の友人だ。ヒョロヒョロして顔色が悪くと、分かりやすいほどに半病人だ。最近は大学にも出てきていなかったので、出歩いていて大丈夫なのかと思うが、本人が『なんとか』と笑っているのだから少しは持ち直したのかもしれない。