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 低い天井を見回すようにしながら、姪の口が小さく動く。
「叔母さんの匂いに似てるのかも」
「わたし?」
 そこでわたしに繋がるとは思っていなくて、つい尋ねてしまう。
 独り言めいたそれを拾われると思わなかったのか、姪が動揺を示す。
「えっと、その……肌に」
「そりゃあ、肌の匂いだろうね」
 他の場所の匂いって、わたしの匂いなのか?
 姪が頬を仄かに色づかせながら、ごにょごにょなにか言っている。肌の匂いなんてどこで嗅いだとかまぁそういうね、あれねがあるね、みたいなところだろう。……それはさておき。
「木か」
「はい」
「木臭いかわたしは」
「そこまでは言ってませんけど……」
「いいな、それ」
 どこが、と不思議がる姪の声に小さく笑う。
 この家にはクリスマスツリーなんてないから、わたしがその代わりになれたらいい。
 姪との、せっかくのクリスマスなのだから。
 ツリーにケーキを用意して、ほら少しだけそれらしくなってきた。
 世間に遅れて、夕焼けも間近に迎えながら、そろそろクリスマスを始めよう。


 なにかが始まる。そのなにかが終わる。
 何度終わっても、すぐに次が始まる。
 今日のわたしができるのは、今日を終わらせて明日を始めること。
 昨日に戻らないよう、歩いていくこと。
 今のわたしが歩きたい、その子の隣で。